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驚異のイタリア車。

ルーマニア北部の教会巡りは、
ほとんどクルマでしか行けないような場所ばかりなので、
どうしてもタクシー利用率が高くなる。
まあ日本にくらべたら激安なので、
同行者を募って、何人かでシェアすればそれほどの負担にはならないけど。
1日目に乗ったタクシーはドイツ車ですこぶる快適だった。
思わず「明日もこのクルマか?」と尋ねたところ、
「いーや、明日はルーマニア車だ!」とのこと。
「えっ」っと思わず落胆の表情になってしまったが、
それもまあ、しかたがない。ルーマニアに来ているのだから。
翌朝。宿の前で待っていると、間もなくタクシー到着。
けれど、見てみるとなんかルーマニア車っぽくない。
おそらく、ドライバーは昨日の僕の表情を見逃さなかったのだろう。
「ほら見ろ!ルーマニア車じゃないぞ!イタリア車だ、イタリア車!」と、
誇らしげにクルマのエンブレムを指さす。
たしかにお尻のところには「FIAT PUNTO」のロゴが書かれている。
うーむ、イタリア車かあ。ビミョーだなあとは思いつつも、
まあ、ありがとう!と伝えてまずは車内へ。
と思ったら後部座席がいきなり開かないでないの!
「あー、反対側から乗って」といわれて乗ってみると……。
驚異のイタリア車。_f0217617_1612416.jpg

いきなりドアの内側ノブがもげていました。
「いやあ。前の客が力入れすぎちゃってさー」
そんなワケあるかー!
走り出してしばらくすると、今度は足もとになにか転がっているのに気づきます。
驚異のイタリア車。_f0217617_1615811.jpg

見てみると、窓ガラス開閉用のレバーでした……。
さらに走っていくと、やがて外はあいにくの土砂降り模様。
当然ワイパーを動かし始めたのですが、
何往復かしたところで急に「ガキャガキャ!」という不気味な音が。
見ると左右のワイパーが完全に絡まっています。
驚異のイタリア車。_f0217617_16172524.jpg

ドライバーはさして慌てたそぶりもなく、雨のなかワイパーを直しに。
結局、助手席側のワイパーは「なかったこと」にして、
ワイパー1本体勢で切り抜けたのでした。
やれやれ、これでなんとか走れるわいとひと安心していると、
ドライバーが外から窓をコツコツ叩きます。
「?」と思っていると、
「ゴメン、運転席のドア開けて。外から開かなくなっちゃった……」
だ、大丈夫なのかー、このクルマ。
あとから考えると、あれはあえてイタリア車を選んだんじゃないな。
ルーマニア車すら手配できなくなって、
しようがなくロートルを急遽復活させたの違いない。
それでもあの大雨のなか、7時間にわたる山越えを無事に乗り切ったんだから
たいしたもんだよなあ。
でも、あのタクシーは同じ道をまた7時間かけて帰らなくちゃならないわけで、
ちゃんと帰れたのか、今でも心配です。
スチャバ/ルーマニア。2012年。
by apolro | 2012-09-12 16:35 | 旅の日々 | Comments(0)

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