2012年 09月 12日
驚異のイタリア車。
ほとんどクルマでしか行けないような場所ばかりなので、
どうしてもタクシー利用率が高くなる。
まあ日本にくらべたら激安なので、
同行者を募って、何人かでシェアすればそれほどの負担にはならないけど。
1日目に乗ったタクシーはドイツ車ですこぶる快適だった。
思わず「明日もこのクルマか?」と尋ねたところ、
「いーや、明日はルーマニア車だ!」とのこと。
「えっ」っと思わず落胆の表情になってしまったが、
それもまあ、しかたがない。ルーマニアに来ているのだから。
翌朝。宿の前で待っていると、間もなくタクシー到着。
けれど、見てみるとなんかルーマニア車っぽくない。
おそらく、ドライバーは昨日の僕の表情を見逃さなかったのだろう。
「ほら見ろ!ルーマニア車じゃないぞ!イタリア車だ、イタリア車!」と、
誇らしげにクルマのエンブレムを指さす。
たしかにお尻のところには「FIAT PUNTO」のロゴが書かれている。
うーむ、イタリア車かあ。ビミョーだなあとは思いつつも、
まあ、ありがとう!と伝えてまずは車内へ。
と思ったら後部座席がいきなり開かないでないの!
「あー、反対側から乗って」といわれて乗ってみると……。
いきなりドアの内側ノブがもげていました。
「いやあ。前の客が力入れすぎちゃってさー」
そんなワケあるかー!
走り出してしばらくすると、今度は足もとになにか転がっているのに気づきます。
見てみると、窓ガラス開閉用のレバーでした……。
さらに走っていくと、やがて外はあいにくの土砂降り模様。
当然ワイパーを動かし始めたのですが、
何往復かしたところで急に「ガキャガキャ!」という不気味な音が。
見ると左右のワイパーが完全に絡まっています。
ドライバーはさして慌てたそぶりもなく、雨のなかワイパーを直しに。
結局、助手席側のワイパーは「なかったこと」にして、
ワイパー1本体勢で切り抜けたのでした。
やれやれ、これでなんとか走れるわいとひと安心していると、
ドライバーが外から窓をコツコツ叩きます。
「?」と思っていると、
「ゴメン、運転席のドア開けて。外から開かなくなっちゃった……」
だ、大丈夫なのかー、このクルマ。
あとから考えると、あれはあえてイタリア車を選んだんじゃないな。
ルーマニア車すら手配できなくなって、
しようがなくロートルを急遽復活させたの違いない。
それでもあの大雨のなか、7時間にわたる山越えを無事に乗り切ったんだから
たいしたもんだよなあ。
でも、あのタクシーは同じ道をまた7時間かけて帰らなくちゃならないわけで、
ちゃんと帰れたのか、今でも心配です。
スチャバ/ルーマニア。2012年。