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『山怪』を読んで山怪現象に遭遇?

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『山怪』という本を読んだ。
その名の通り、山を舞台にした不思議な話を集めた怪異譚で、
マタギをはじめとする山民から、
直接経験談を採集しているのが特徴的だ。
話には特にオチがあるわけではなく、
体験したことをただ語っているというのが、
逆にリアルで怖さを感じる。
不思議な物を見た。
不思議な音を聞いた。
迷うはずのない場所で迷った。
狐や狸にバカされた。
続々とそんな話を読んでいると、
やっぱり山にはなにかがいる(ある)のではないかという気がしてくる。
そして、そんな本を読んだ直後に出かけた山で、
僕もちょっと不思議な現象を経験。
総勢5人ほどでののんびりとした週末の山歩き。
途中、背後に絶景が広がる場所があったので、
そこで全員で記念写真を撮影し、
さあ、また歩こうかというとき、
撮影した人が、
「あれ、レンズキャップがないや」とつぶやいた。
撮影場所からまだ15メートルほど歩いて来ただけなので、
彼が「ちょっと、さっきの場所見てくる」といったときも、
誰も変には思わず、
「はいはい、どーぞ」と見送った。
なんといっても眼と鼻の先なのだ。
来た道を戻る彼。
その後ろ姿を眺める僕たち。
ところが彼はその撮影ポイントで立ち止まりもせずに素通り。
僕たちは怪訝に思いながらも、
「あの場所になかったから、もうちょっと戻ってみるんだろう」
程度にしか考えなかった。
登り斜面の向こうに彼の姿が見えなくなって、
5分、10分、15分……。
次第に心配になってくる。
来た道にはとくに迷いやすい場所や危険箇所もなかった。
どこまで戻っちゃったんだろう。
20分を過ぎたところで、
彼はようやく戻ってきた。
件の撮影ポイントで手を足下に提げて僕たちの待つ場所へ。
当然僕たちは、
「いったいどこまで行ってたんですか?」と尋ねたのだけれど、
彼の返答はどうも要領を得ない。
撮影ポイントはすぐ目の前だとはわかっていたのに、
なぜか歩き出したらもっと先のような気持ちになってしまい、
どんどん歩いてしまったとのこと。
10分以上歩いたところでさすがにおかしいと思って、
あきらめて戻ってきたのだという。
そして撮影場所まで戻ってきたところ、
そこには岩の上に目立つようにレンズキャップが置かれていたのだそうだ。
それを拾う姿は僕らも見ていた。
何度も言うようだけど、
だって本当に眼と鼻の先なのだ。
つまり、そんなに目立つような場所に置かれていたにもかかわらず、
探しに歩き始めたときは気づきもしなかったことになる。
狐にバカされた?
神隠しに遭いかけた?
そのまま歩き続けたらどこに行ってしまったのか?
あるいはただの天然ボケ?
真実は藪の中。
山ではときどきこんなことが起こる。
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栃木県。2015年。
by apolro | 2015-08-24 11:42 | 旅の日々 | Comments(0)

今日の旅、昔の旅、そして狭間のよしなしごと。

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