2015年 12月 07日
『子犬工場』を読んだ。
これまでに何冊も僕の無理な企画で本を書いてくれた著者が
新しい本を上梓した。
タイトルは『子犬工場』。
一見かわいらしい響きだが、
その言葉が意味するものは重く、厳しい。
狭く、不衛生な場所で死ぬまで子犬を産まされ続けるお母さん犬。
お母さんの愛情を知る間もなく、
ペットショップへ「出荷」される子犬。
大きくなってしまうと商品価値が落ちるので、
なるべくエサを与えずに小さいままにさせようとするペットショップ。
いっぽうの育てる側も、
子供の誕生日プレゼントとして与え、
自分たち海外旅行に行くのに、
面倒を見る人がいないとか、
ペットホテルが割高だという理由で、
保健所へ送り、結果殺してしまう親。
そしてこれらの悪循環を断ち切るために
著者たちが行っている新しい活動。
本書で書かれているのは犬と猫についてだが、
それ以外のほ乳類、鳥類、爬虫類、両棲類、魚類、昆虫……、
あらゆる「生き物を飼う」ということについて深く考えさせられる。
こういった本で残念なのは、
一番読んでほしい読者、
たとえばカワイイという理由だけで、
ぬいぐるみ感覚で衝動買いしてしまうような人の元に
なかなか届かないということ。
本書が平易な文体で書かれ、
漢字にもルビがふられているのは、
まだ、従来の悪しきペット感覚に染まっていない子供にも
読んでほしいという気持ちからだろう。
これから犬や猫を飼いたいと思っている人には、
ぜひご一読をお勧めします。
東京都。2015年。