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『謎のアジア納豆』を読んだ。

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高野秀行の『謎のアジア納豆』を読んだ。
これがもう、抜群におもしろい!
いや、最初はちょっと不安だったんですよ。
高野秀行といえばこれまでに
多くのノンフィクションを書いているけれど、
実在すらはっきりしていない
西南シルクロードの密林を徒歩と象で突破したり、
『北斗の拳』状態になっているといわれた
ソマリアに単独で足を踏み込んだり、
なっかなかの激しい旅をしていることで知られています。
それが今回は納豆。
まさか、「アジア各地にもこんな納豆がありましたよ!」
だけに終始したらどうしようと心配だったのですが、
それは杞憂でした。
日本はもちろん、タイ、ラオス、ミャンマー、
ネパール、ブータンといった国々、
そして納豆の発祥を巡って時間と空間を自在に旅する興奮の展開。
そして最後には壮大な仮説が現れる……。
読んでいて感動で泣きそうでしたよ。
彼の本はたぶん全部読んでいると思うのですが、
この衝撃は『西南シルクロードは密林に消える』以来かも。
ちなみに納豆に関わろうとした理由のひとつが、
日本人が外国人に向かってよく「納豆、食べられる?」って、
いかにも納豆は日本オンリーみたいな顔をしていることが
気になっていたのだそうです。
これって近年の日本人が、
自分で自分のことをやたり「日本はすごいんだ!」って
自画自賛して喜んでいる気持ち悪さへの、
ある種の問いかけではと思ってしまったのは勘ぐりすぎでしょうか。

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この写真は僕が2006年にミャンマーを訪ねたときのもの。
シャン人の街であるカローの市場で発見した納豆です。
ふふふ、僕だって納豆見つけてたもんねと、
ちょっとほくそ笑んだのですが、
それで終わってしまうのと、
そこからこれだけの話を展開できるのとは、
もう、まるで違いますね。
東京都。2016年。
by apolro | 2016-07-26 12:04 | 日々のなかの旅 | Comments(0)

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