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アイスランド語と出版業界。

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夏に訪れたアイスランドの人々は、
アイスランド語という独自の言語を話している。
アイスランド語はヨーロッパ言語のなかでも、
かなりクラシカルな構造とのことで、
中世からほとんど変わっていないらしい。
そのため文法などはかなり複雑、
単語もどう読んだらいいものやらというものが多く、
少なくともローマ字読みではまったく通じないことが多かった。
彼らのほとんどは英語も流暢に話せるので、
僕はもう完全にアイスランド語会話はあきらめた。
ところで、アイスランドの人口は約33万人。
最初にそのことを知ったときには、
「へー、少ないんだなー」
くらいにしか思わなかったのだが、
首都レイキャビクの書店をのぞいたときに、
ちょっと衝撃を受けた。
アイスランド語の本が数多く出版されているのである。
アイスランドでアイスランド語の本が出版されているのは
当たり前のことかもしれないが、
先ほども書いたようにアイスランドの人口は33万人。
このことは出版に関わったことのある人なら、
ぞっとするのではないか。
僕も書店でそのことを考えて呆然とした。
仮にすべてのアイスランド人が、
ある本を買ってくれたとしても、
33万部を越えることはないのだ。
もし33万人のうちの20万人が成人で、
そのなかの10人にひとりが本を買ってくれても、
実売2万部が限界。
実際にはその10分の1、
2000人が買ってくれればベストセラーといったところではないのか。
はたしてそれで商売的に成り立つのか?
同じ本を2冊以上買ってくれる人はまずいないし、
かといって本一冊に何万円という価格をつけるわけにもいかないだろう。
アイスランドの出版社では
どんな編集会議や営業会議が行われているのか、
とても気になるところである。
1億人以上の人口を持つ日本とはまるで異なる、
思考、方法論がとられているのだろうか?
聞くところによると、
アイスランドの人々は、
自らの言語をとても大切にしているという。
もしかしたら、そんなところがなにか関係しているのかもしれない。
東京都。2016年。
by apolro | 2016-09-29 16:54 | 日々のなかの旅 | Comments(0)

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