旅と暮らしの日々 by sato tetsuya


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1985年の東ドイツ。その1。

f0217617_16295646.jpg
モスクワからベルリンへの旅すがら、
ポーランドとの国境で東ドイツから発給された
トランジット・ビザの有効日数はわずか1日だった。
トランジット・ビザというのは、
その国を抜けてさらに隣国に行くときに発給される、
いわゆる通過専用ビザ。
つまりこのビザが有効な間に、
東ドイツを抜けて西ベルリンに出なさいよというわけだ。

中国から西ドイツまで鉄道で旅するにあたっては、
通過する各国のトランジットビザの取得が必要で、
このとき必要だったのは、
モンゴル、ソ連、ポーランド、そして東ドイツのビザだった。
在北京の各国大使館をまわって、
ひとつずつ取っていかねばならないのだが、
これにもルールのようなものがあって、
モンゴルやポーランドのビザを取るには、
まず彼らの偉大なるお兄さん国家である
ソ連のビザを先に取らなくてはならなかった。
ビザ発給業務は週の半分くらしか行ってくれず、
さらに発給されるには数日を要し、
その間、パスポートは預けっぱなしなので、
かけもちで申請することもできない。
これらの条件をクリアしながら、
パズルのように各国のトランジットビザを揃えるのには、
たしか2週間ほどかかったのではないか。
そのなかで唯一、
東ドイツだけが国境で、
その場で発行してくれたのだった。

無事ポーランドの出国をすませ、
列車内に入ってきた東ドイツの入国審査官は、
いかにもドイツ人といった厳格そうなおじさん。
愛想はまったくないが、
仕事は正確にしてスピーディー。
「トランジット?」
「イエス……」
「5マルク!」
「ペイ バイ ジャパニーズ・エン?」
「イエス! 430エン!」
そして目にもとまらぬスピードで、
僕のパスポートの一番最後のページの片隅に、
きっちり水平に、
そしてかすれもなく
ポーンッ!と入国スタンプを押してくれた。
そのとき僕は心のなかで、
「おお、ドイツに来たぜ」と、
ちょっと感動していた——。
とばかり思っていたのだが、
あらためて30年ほど前のパスポートを引っ張り出してきて、
東ドイツの入出国スタンプを確認してみると、
全然そんなことなかった。
きっちりというより、
ページからはみ出しているし。
ときとして、
旅の記憶は脳内で捏造されるというよい例である。
東ドイツ/フランクフルト・アン・デア・オーダー。1985年。
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by apolro | 2016-12-24 16:32 | 旅の日々 | Comments(0)
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