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銭湯上がりの赤提灯。

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お正月に銭湯通いをして、
ひとつ気づいたことがあった。
それは「銭湯を出たところに下がっている赤提灯には抗えない」
ということ。
東京の熱めの銭湯に入り、
多少のぼせ気味の身体を休憩室で休ませ、
いい感じに身体が水分を欲しがっているところに赤提灯。
これはもう圧倒的な破壊力だ。
1月2日に入った沼袋の『一の湯』なんて、
銭湯から出てふと首を右に向けたら、
そこにはあつらえたように赤提灯。
これはもしかしたら銭湯の一部として存在しているのでは。
強力さで知られるネオジム磁石ばりの吸引力で吸い込まれましたよ。
まずはビールを注文し、
一気呵成に飲み干す。
当然、うまい。
銭湯上がりのビールのうまさは、
山からの下山ビールのうまさに匹敵するのではなかろうか。
落ち着いたところでお品書きを確認する。
ポテサラや唐揚げといった居酒屋定番メニューに加えて、
ラーメンや炒飯といった中華メニューも豊富だ。
もしかしたら昼間からやっているのかもしれない。
そして「ラム肉串揚げ」「水餃子6個」という、
ちょっと珍しいメニューを発見。
どちら350円というお手頃価格。
そういえばカウンターに立っている愛想のよいお兄ちゃん、
流暢な日本語を話すが若干中国語の訛りがある。
尋ねてみるとやはり中国のご出身とのこと。
ははーん。
中国でラム肉や水餃子をよく食べるといえば、
ボクの30年前の知識によれば北のほうだ。
北京かハルビンか、あるいは内モンゴルか。
推理に推理を重ねたところで、
自信満々で「さてはお兄さん、あなた北のほうの出身だね?」と
尋ねたところ、
「ワタシは南のほう、福建省の出身デス」
全然違うんかーい!

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それでも出てきたラム肉も水餃子も、
小ぶりのものが小皿にたくさん盛られていて、
酒の肴としては最適な美味しさ。

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楊枝に刺して揚げられてラム肉のお皿には、
日本の七味とは違う材料で構成された
香辛料が添えられていて、
ちょっと新疆っぽい趣きでもある。
ビール1本のつもりがついついもう1本。
常連さんと思しきお客さんが、
「明けましておめでとう〜!」と元気に入ってきたところで、
すれ違うように店を後にした。
見知らぬ銭湯に入って、
偶然見つけた赤提灯で一杯やれば、
それだけでひとつの旅は完結する。
お店の名前は焼き鳥屋でもないのに、なぜか『仙鳥』。
東京都。2018年。
by apolro | 2018-01-09 11:32 | 飲む日々、酔う旅、美味しい時間 | Comments(0)

今日の旅、昔の旅、そして狭間のよしなしごと。

by apolro