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2018年銭湯行脚六湯目、野方『昭和湯』。

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今日は近所で銭湯行脚。
野方の『昭和湯』。
ここも家から至近。
歩いて10分もかからない。
先日出かけた銭湯『上越泉』からだって5分ほどの距離ではないか。
昔はそれくらいの密度で銭湯があっても不思議はなかったのだろう。
平成元年に2000軒近くあった都内の銭湯のうち、
現存しているのは600軒もないらしい。
本当に恐ろしいスピードで銭湯が消えている。
中野と高円寺界隈の早稲田通り北側は、
今でも細く複雑な道が迷路のように張り巡らされていて、
知らずに入り込むとけっこう迷いやすい。
このあたりは先の戦争でも空襲に遭わなかったのだそうだ。

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そんな小径をうろうろしつつ、
こんなところに銭湯なんてあるのかなあと思っていたら、
昭和の風情を持った平屋の向こう側に、
いきなり煙突がドカンと現れた。

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宮造りに煙突という佇まいは昔からのままのようだが、
入口は改装したのだろう。
レンガ張りの外壁に自動ドア。
なかに入ると内側は鏡張り。
番台ではなくて、
ロビーとフロントのような構造になっていて、
そこだけみると、
ちょっと昭和のラブホテルを思わせる。
脱衣所には昭和歌謡が低く流れていて、
森田公一とトップギャランの『青春時代』が、
なぜか心に沁みる。
浴槽に入ると正面を飾るのはペンキ絵ではなく、
タイルと使ったモザイク絵。
全画面を覆わんばかりに大きな鶴のような鳥が、
中央に輝く太陽へ向かってイカロスよろしく飛翔している。
お湯の温度は今年入った銭湯のなかでは一番低め。
熱い風呂があまり得意ではない僕でも、
出たり入ったりを繰り返さずに、
するっと肩までつかることができた。
湯船の中央には底から超微粒の泡がゴボゴボを湧きだしていて、
これがマッサージ効果があって身体によいらしいのだが、
その勢いが半端ない。
これで水面が「ビカッ!」とか光ったら、
底から怪獣エレキングが顔を出しそうですよ。
無理してその上にエイヤッと座り込んだら、
勢いに負けてバランスを崩し、
危うく溺れそうになった。
客層は意外に若め、
僕より年下が多い。
ずいぶん減ったとはいえ、
このあたりはまだ学生向けの風呂なしアパートが
残っているのかもしれない。
学生のころ、
トキタ君という友人がこのあたりに住んでいたことを思い出した。
卒業以来音信不通だけど、
どうしてるかな。
風呂から上がってビールを飲みながら、
フロントのおばちゃんと立ち話。
『昭和湯』という名前は、
その名の通りこの銭湯が昭和初期に創業したためとのこと。
時代が平成に変わったとき、
「平成」を関した企業やら会社やらがやたらに現れたが、
昭和のときも同じような現象があったのだろう。
僕が早稲田通りの反対側からやってきたというと、
「うちの煙突、早稲田通りから見えないでしょう? だから住宅を歩いていると、突然煙突が現れてビックリするかたが多いんですよ」
ハイ、僕もビックリしました。
東京都。2018年。
by apolro | 2018-01-13 11:29 | 銭湯行脚 | Comments(0)

今日の旅、昔の旅、そして狭間のよしなしごと。

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