2014年 08月 01日
懐かし本『世界の飛行機』再発掘。
秋田書店刊『世界の飛行機』。
幼稚園の年長から小学一年生くらいに親から買い与えられ、
夢中で読み込んだ本です。
当然、当時の本は四散してしまい、
写真に写っているのは、
15年くらい前に高円寺の古書店で偶然発見したもの。
それがまた自分の本棚に死蔵され、
この度、二度目の発見となった次第。
今、あらためて読み直しても、
この本、うまいこと構成されているなあと思います。
読者対象が子ども、ということからでしょう。
第一部はいきなり、ドイツのハインケル博士による
ジェット機とロケット機開発からです。
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「これからは、こういう飛行機を作るんだ!」と博士が広げた図面を見て、
「プロペラが……」。
ひとりの技師が、と思わず、叫んだ。
「そうだ、プロペラは、もういらない。こちらがジェット式で、これがロケットだ」
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胸アツですね。
続くのは、例のベルX-1ロケット機による音の壁突破のエピソード。
それまでどうしても破れなかった音の壁に挑んだ、
チャック・イエーガー大尉の話ですね。
これは映画『ザ・ライトスタッフ』のオープニングでも語られているので、
ご存じのかたも多いはず。
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マッハ計の針がジリジリとマッハ1に近づくなか、
突然、水に濡れた犬がからだをふるように、機体がブルブルッと、ふるえる。
やがて、それが、ピタリととまると、急に、シーンとしずかになった。
風防の上の空気が、布を、さくような音をたてているほかは、何もきこえない。
シーンと、しずまりかえった世界だ。
「これが、音速の世界なのだ!」
大尉の目が、速度計にはしった。
マッハ計の針は、1.0をわずかにこしたところで、
ブルブルふるえている。
ついに、音の速さをこえたのだ!!
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大人になって読んでもタマランものがありますね。
こうして読者の気持ちをつかんだところで、
エンジンの仕組みとか翼の形といった技術的なテーマに入るのでした。
ちなみに初版は1965年。
ライト・フライヤーからのプロペラ機の歴史にはほとんどふれていないのは、
高度経済成長ど真ん中、明るい未来のみを見つめていたためでしょうか。
(たぶん、ページ数の都合ですね。)
後半の「超音速旅客機」の頁では、
「日本航空もコンコルドを五機注文しているが、実際に使うようになるのは1978年ごろだろうといわれている。ねだんは一機414億円くらいになる」と書かれています。
時代ですね。
東京都。2014年。