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湯久保集落ぶらり散歩。

檜原村の奥にある集落である湯久保。
地形図で確認すると、
湯久保集落へ行くのには、
北秋川沿いの都道から細い舗装道に入り、
途中の分岐で直進か右折を選択することになる。

どちらの道沿いにも民家が点在するのだが、
それらをぐるりと周回するには、
標高900メートル近い湯久保尾根まで詰め、
そこから尾根沿いに下ってくるしかないように見える。
しかしこういった山麓には、
地形図には反映されていない作業道や地元道のようなものが
数多く存在していることが多い。
ためしに同じ湯久保集落を昭和初期の地形図で確認してみると。

ほらね。
集落内を縫うようにいくつもの道が交差していることがわかる。
■マークで表現される住宅も、
いまよりずっと広域に数多くあるように見える。
今回はこの道を散歩してみた。

湯久保集落ぶらり散歩。_f0217617_11520442.jpg
都道から伸びる道は当初、
杉に囲まれた暗い森のなかを行くが、
やがて南側が開けて青空が広がる。

舗装道があるのはここまで。
正面に民家が建ち、
その手前から九十九折れの山道が右へ延びる。
ちなみにこの山道を支える石積み。
ずいぶんしっかり積まれているなあ。
湯久保の人たちの手によるものだろうか。
公共事業だったらコンクリートを使うだろう。

しばらくこんな簡易舗装の山道が続いたあとに、
指導標のない分岐が現れた。
地図から判断するに、
おそらく左の道が尾根へ、
そして右が湯久保集落を周回する道なのだろう。
今回は右へ。

落ち葉にに埋もれてはいるものの道型はしっかりしている。

途中で山道沿いに現れた構造物。
おそらくは沢の水をここに溜め、
集落の上水として利用するためのもの。
これの整備のためにもこの道は維持されているのかもしれない。

やがて日当たりのよい場所に出て、
そこには一軒の民家が。
畑仕事でもしていてくれれば、
声をかけることもできるのだが、
そう都合よくはいかない。
「生きている」民家とあれば、
写真を撮るのだってちょっと気が引ける。

このへんの道も山側は時代を感じさせる石積みがびっしり。

日陰には数日前の雪が残る。
このあたりから周囲には家屋が増え始め、
集落の中心まで来たことが実感できるが、
驚くのはここにはまだ山道しか通じてないこと。
大きな荷物はすべて背負って家まで運ぶのだろうか。

ようやく舗装道に出た。
この道を下れば、
往路で右に分岐していたあの道に至るのだろう。
舗装道との合流地点にあった庚申塔と古い石仏。
庚申塔には「天保」年間の文字が、
そして石仏は摩耗していて、お顔はつるつるだった。
湯久保集落の歴史がにじみ出る。
東京都。2017年。


by apolro | 2017-01-13 12:01 | 旅の日々 | Comments(0)

今日の旅、昔の旅、そして狭間のよしなしごと。

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