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季節外れの果樹園にて。

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奥武蔵・正丸峠のさほど長くないトンネルを抜けると、
そこは芦ヶ久保。
駅の南側には日当たりのよい、
なだらかな緩斜面が広がっていて、
その地形を利用して何軒もの農家が果樹園を経営し、
芦ヶ久保果樹公園村なんて呼ばれてもいる。
もちろん12月も半ばを過ぎると、
さすがに果樹園は休業状態だ。
年を越えて一月に入ると、
今度は苺狩りが始めるらしいが、
それもまだ先の話。
その果樹園のなかを登っていく。

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登山道の入口には実をつけたキウイが
アーケードをつくっていた。
季節外れに来たハイカーにも、
少しでも果樹園の雰囲気をという、
農家のかたの心遣いだろうか。
そんな小さなできごとが、
冬の静かな低山ではうれしい。
道はすでにあらかた舗装路になってしまっているが、
ときおり九十九折りをショートカットするかたちで
現れる山道が心地よい。
足元には落ち葉が幾重にも積み重なり、
かしゃかしゃとそれを踏む音も、
冬の低山を歩いていることを実感させてくれる。
やがて道は尾根上を渡るようになり、
しばらくすると山頂の指導標が現れた。
日向山。
これ以上この山に相応しい山名もないだろう。
師走の平日にも関わらず、
山頂にはひと組の老夫婦と、
ひと組の子連れ親子が、
風もない絶好の日差しを満喫していた。
そして、山頂標の写真を撮るにあたって初めて気がついた。
「あ、この山の標高、僕の誕生日と一緒だ」
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標高627メートル。
埼玉県。2017年。
by apolro | 2017-12-20 15:37 | 旅の日々 | Comments(0)

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