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渡し船部2018年活動再開、『小堀の渡し』その4。

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途中で寄港する船着き場を後に、
『小堀の渡し』は終着の船着き場である、
鉄橋下の取手ふれあい桟橋を目指す。
これまでに乗った利根川の渡し船はどれも、
乗客はもちろん、船頭さんも吹きっさらしのもとでの旅だったが、
このとりで号には前述のように室内席もあるし、
屋根つきの操舵室もある。

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そこだけ見ると、
小さな漁船みたいだ。
冬の澄んだ空気のなか、
やがてゴールが見えてきた。
四隅に穿たれた赤い鉄柱がひときわ目を惹くが、
これは実は桟橋を半可動状態で維持しておくためのものだそうで、
つまりたとえ利根川が増水しても、
桟橋はこの鉄柱に守られて上下動するのだ。

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その巨大な鉄柱から、
あらためて荒天時の利根川の暴れっぷりが伺える。
話は前後するが、
そもそもここになぜ渡し船が存在するのか。
それも実は利根川の氾濫に関係している。
まず地形図を眺めるとわかるのが、
小堀地区の特異性。

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千葉県と茨城県はその県境の多くを利根川で規定しているのだが、
そんななかなぜか小堀地区だけが利根川の右岸、
つまり千葉県側に位置しているのだ。
なんでこんなことになったのか。
これも地形図を眺めると一目瞭然。
小堀地区の南側には古利根池と呼ばれる池がある。
昔の利根川がここを流れていたことを示す、
いわゆる三日月湖だ。
三日月湖というと『釣りキチ三平』的な文脈でいうと、
とんでもなく巨大な野鯉が生息していそうだが、
実際にはヘラブナやバスの有名釣り場らしい。
今から100年以上前、
度重なる利根川の氾濫に手を焼き、
その結果として流路改修されたのが現在の利根川の流れ。
そしてそのために、
それまでは利根川左岸にあった小堀地区は右岸、
つまり千葉県側になってしまったというわけだ。
しかし川向こうの住民になってしまったとはいえ、
行政上は茨城県。
子どもたちは対岸の学校へ通わなくてはならないし、
大人だって取手駅方面へ買い物に出る必要もあるだろう。
そんなことからこの渡し船は運航されることになったのだとか。
川に歴史あり。
いや河川改修に歴史あり。
いやいや渡し船に歴史あり。
やがて渡し船は無事に着岸。
僕は心のなかで「では、サラバ!」とつぶやきながた、
船を下りて取手駅方面へ歩き出した。
茨城県。2018年。
by apolro | 2018-02-25 10:14 | 渡し船部 | Comments(0)

今日の旅、昔の旅、そして狭間のよしなしごと。

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