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2018年銭湯行脚四十三湯目、辻堂『不動湯』。

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辻堂駅南口を出て歩くこと約5分。
商店街から住宅街へと切り替わるあたりに不動湯はあった。
入口に斜めにかぶさるように植えられている
松の木が雰囲気を醸し出す。
僕たちが抱く湘南のイメージとはずいぶん異なる。
暖簾をくぐり年季の入った木製の下足箱に靴を預け男湯へ。
番台に座っていたのは、
意外にも若いお兄ちゃんだ。
入浴料を払って、
さてロッカーはと見ると、
手前にこれまた大きめの木製ロッカーがいくつか並んでいたが、
どれも鍵どころか取っ手すらない。
どうしたものかといぶかる僕の姿に気づいたのだろう。
番台のお兄ちゃんから、
「籠を使ってください」と声がかかる。
なるほど。
あのロッカーはすでに引退したのだな。
長板を渡した床がキシキシと音を立てて、
歴史を感じさせる。
脱衣場では神奈川県予選に話で盛り上がっている。
Y校がどうだ、東海大相模がどうだと賑やか。
ひとりのおじいさんが、
「俺の弟がね、Y校の野球部で決勝まで行ってね。そのとき打席に入っている写真が今も残ってるんだよ」と自慢げだ。
そんな会話をすり抜けて浴室に入ると、
まだ夕方5時くらいというのに10人以上いる。
おそらくみんな僕より年輩のかた。
銭湯絵はなく、
その位置には溶岩が張り積まれていて、
そこからお湯が流れてくる仕組みだ。
コンクリートで作った樹木もあしらわれている。
浴場内にタイル張りの丸い柱が3本も立っているのが珍しい。
浴槽は二つ。
下から泡と横から泡の定番だ。
お湯の温度は低めだったので、
のんびり浸かって上がる。
脱衣場ではさきほどのおじいさんが、
「俺の弟がね、Y校の野球部で決勝まで行ってね。そのとき打席に入っている写真が今も残ってるんだよ」と、
先ほどとまったく同じ話を別の人(たぶん)に、話していた。
番台のお兄ちゃんに一応創業時を尋ねてみると、
「はっきりとはわからないんですが、かなり前から……」
「『かなり前から』、ですか(笑)」
「はい、『かなり前から』(笑)」
辻堂には、以前大きな工場があったそうだから、
もしかしたらそこの工員たちが通ったのかもしれない。

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入口の脇には、
歴史を感じさせるこんなホウロウ看板が掲げられていた。
神奈川県。2018年。
by apolro | 2018-10-31 14:18 | 銭湯行脚 | Comments(0)

今日の旅、昔の旅、そして狭間のよしなしごと。

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