明けて翌日オスロの朝。昨晩はビールだけで寝てしまったのでさすがに空腹だ。
この安宿にもオプションで朝食がついていた。
まあ質素なものだろうとは思ったが、
空腹で見知らぬ街の朝を彷徨うのもちょっと切ない。
ここはそれで我慢するかとフロントにお願いすると、
なんと近所のカフェと提携していて、
朝食はそこで食べるらしい。
それはちょっと期待できるかもと、
食券?を握りしめてそのカフェ向かうと、
やはりそこにはブッフェ方式のちゃんとした朝食が。
ライ麦パンに各種スプレッド、
ベリー系のジャムがいろいろあるのが北欧らしい。
ハム、チーズも各種。
カラメル風味のチーズが珍しい。
コーヒーはもちろんジュースも豊富。
フルーツに野菜もある。
ツナやレバーペーストはパンに載せて食べろということか。
これで約1000円なら納得だ。
ガラス越しに外の風景を眺めながら、
そんなオスロ風朝ごはん。
ちょうど通勤時間なのだろう、
オスロ市民の日常が垣間見えて興味深い。
なかにはこれから学校なのだろう、
ノルディックセーターにフェールラーベンのカンケンバッグを背負い、
金髪のロングヘアを風にたなびかせている女の子などもいて、
「いかにも北欧ですなー、ダバダ〜(ネスカフェのCMね)」
とひとり悦に入っていると、
背後からいきなり「なんやコレ!」と現実に引き戻される声が。
そっと振り返るとそこには二人の大阪(たぶん)オバちゃんがいた。
「なか、生焼けや!」
「煙、出てた?」
「知らん」
「あかんで、それ」
会話の内容からだいたいの予想はついた。
ビュッフェのテーブルには、
自分で焼くスタイルのワッフルマシンがあったのだ。
僕もちょっと気になったが、
使ったことのない機器で朝からワッフルを焼くのはちょっとなあと、
避けていたのだ。
しかしコナモン王国の住人は、
そういうわけにはいかなかったのだろう。
その勇気には敬意、である。
しかし恐るべき大阪オバちゃん力。
オスロを一瞬で大阪にしてしまった。
もし彼女たちが漫画『ハンター×ハンター』の住人だったら、
使える念能力は「ハン(阪)だろうな。
世界中どこにいても、
半径10mを一瞬で大阪にしてしまう能力。
『ハンター×ハンター』を知らない人はごめんなさい。
オスロ/ノルウェイ。2019年。