釜山チャガルチ市場場内の2階は食堂になっている。
市場で自分で買ってきたものを持ってくれば、
それを料理にしてくれるそうだ。
沖縄・那覇の牧志公設市場も同様のシステムだったな。
建て替えられてからは行ってないけどどうなってることか。
このシステムはとてもおもしろいんだけれど不都合もあって、
まずハングルがわからないので市場で交渉ができない。
値切るなんてもっと難しそうだ。
さらにはそれを楽しむだけの時間がない旅行者もいる。
でもお店側でもそれは十分承知していて、
手ぶらで店に入って品書きから食べたいものを注文すれば、
お店の人が階下の市場で食材を買ってきてくれるのだ。
注文を受けてから食材を入手する。
なんとロスのない現代的なシステム。
市場ならでは可能なことだ。
お店はお店で特定の店とあらかじめ話をつけておけば、
ある程度値引きしてくれたりもするのかもしれない。
食堂もいくつもの店が軒を連ねていて、
客引きもそれなりに大変そうだけど。
どの店がいいのかなんてわからないので、
とりあえず客がたくさん入っていて、
なおかつ気さくなお姉ちゃんが呼び込みをしてくれた店に座る。
お店の名前は『リラ食堂』。
リラっていうとどうしてライラック、
花を思い出しちゃうけれど、
この店のリラってどういう意味なのかな。
いずれにしてもここで食べたかったのは「サンナクチ」。
有名なテナガダコの踊り食いだ。
サンナクチとビールを頼むとまずはビールとキムチ、乾き物の肴を出してくれる。
ビールを飲んでいる間にタコを買いに行くのだろう。
隣りのテーブルにはインド人と思しき大家族が座っていた、
刺身やらカニやらをワイワイと美味しそうに食べている。
インド人と刺身か。
なかなか新鮮な光景だ。
やがて運ばれてきたサンナクチ。

おお、たしかにぶつ切りにされたタコの足がウネウネと動き回っている。
箸でつまもうとしても皿に吸盤で張りついてなかなか難儀する。
パクリと放り込めば口のなかにも張りついてくる。
ときにはこれで窒息事故もあるらしいので、
入念に入念に噛んでから胃袋へ。
しかしそれにしても量が多い。
品書きにはサンナクチの大と小があってもちろん小を頼んだんだけどこのボリューム。
もう一品くらい頼めるかなとも思ったんだけどもうお腹いっぱいだ。
おそらく普通の食事より「噛む」という動作が何倍も多いので、
それで満腹信号が出ちゃうというのもあるだろう。
いろんな料理を頼めない。
これがひとり旅のつれえところよ。
ちなみ味のほうはといえば、
最近は日本でもときどき目にする生ダコの刺身、
あれがもっと筋肉質で動き回っているというところ。
味自体は劇的に異なることはない。
日本の活け作り同様、
これも新鮮さの象徴的意味合いがあるんでしょうかね。
ちなみにもし可能だった食べたかったもうひとつがこれ。

日本でいうところのユムシですな。
日本はもっぱら釣りエサに使われることが多く、
地方によっては食用にもするらしいが、
僕はまだ出会ったことがない。
なかなか微妙なルックスですがハングル語では「ケブル」と呼び、
直訳すると「イヌのチンコ」という意味らしい。
そのまんま。
たいていは刺身で食べるようで、
その味と食感は貝のようでもありモツのようでもあるらしい。
ひとつふたつを焼酎の肴として食べてみたいところだが、
頼めばやっぱり皿にどっさり盛られてくるとのこと。
無念。

ちなみに市場で見るかぎりはテナガダコと値段は同じくらいみたい。
今度は何人かできて、
こういう無念メシを全部制覇したいものだ。
世界一臭い食べ物のひとつとして有名なエイの発酵料理「ホンオフェ」とかね。
釜山/韓国。2024年。