
1987年。
モスクワから鉄道でワルシャワに着いたときには、
あまりにもものが普通に買えるのに驚いた。
カフェにいけばコーヒーでもスイーツでもすぐ手に入るし、
旧市街ではさまざまな商品が豊富に並んでいた。
モスクワでは街角でアイスクリームひとつ買うのにも並ばなければならなかったのに。
ポーランドも当時はまだ社会主義体制で、
民主化が果たされるのはそれから3年後のことだが、
同じ社会主義国家においてもこんなに違うものなのかと驚かさせた。
そんなワルシャワの町外れを歩いていたときのこと。
ちょっとした空き地に大勢の人が集まって、
なんだか盛り上がっていた。
近づいてみると傍らには大量の瓶ビールが山積みにされていて、
彼らはそれを飲みながらあたかも仮設ビアガーデンのようなものを開催していたのだ。
おずおずと近づいて僕もビールを買えるか尋ねてみると、
「モもちろんだよ!」とグイとビールを押しつけてきた。
こんなことソ連ではありえなかった(当時はゴルバチョフによる禁酒令が発布されていた)。
そのとき飲んだビールのラベルが写真のもの。
なんだか民族衣装をまとった男女のイラストが素敵で取っておいたのだ。
当時はこのビールの出自なんてわかるはずもなかったが、
今ならAIに尋ねてみればと試したところ一発回答だった。
三枚のうちの二枚はポーランドのオコチム醸造所によるもので、
ここは1845年に設立された歴史ある醸造所らしい。
残る一枚はジヴィエツ醸造所のもので、
こちらはポーランドを代表するビール会社だそうだ。
どちらもビンテージラベルとあるが、
そりゃあ40年近く前のものならそういわれるか。
さすがに味は覚えていないけど。
1987年。ワルシャワ/ポーランド。