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旅と暮らしの日々 by sato tetsuya


今日の旅、昔の旅、そして狭間のよしなしごと。
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2018年 11月 12日 ( 1 )


2018年銭湯行脚四十四湯目、秩父『クラブ湯』。

f0217617_15344160.jpg
2018年銭湯行脚四十四湯目は秩父の『クラブ湯』。
秩父鉄道の御花畑駅から少し歩いたところにクラブ湯はあった。
秩父に銭湯?と、
ちょっと意外に思えてもしまうが、
きっと武甲山の石灰石採掘がもっと大がかりで、
しかも人海戦術が中心だった昭和には、
多くの炭鉱労働者がこの街にも暮らしていたのだろう。
僕が中学生のころに読んでいた『シティロード』という映画情報誌には、
秩父の映画館のスケジュールが、
つねに二軒三軒掲載されていた記憶がある。
きっとそんな時代。
外観はちょっとした一軒家のような趣で、
「クラブ湯」という看板がなければ、
ちょっと入るのが躊躇われるところだが、
ふたつ並んだ入口に「男湯」「女湯」と書かれているので、
安心して扉を開ける。
入口が分かれているということは、
当然番台スタイルなのだが、
その番台には誰も座っていない。
女性の脱衣場のほうからは、
にぎやかな話声が聞こえてくるので、
もしやと思って「すいませーん」と声をかけると、
案の定「はーい」という声が聞こえてきて、
おばちゃんがやってきた。
けれども番台には上がることなく、
女湯側から手を延ばして入浴料を受け取ると、
そのままそそくさと会話の輪に戻っていったようだ。
ここの脱衣場もロッカーはなく、
昔ながらの籐の籠が積まれていた。
こういうときって、
やはりどこかで貴重品が心配になるものだが、
今日に限ってはその心配はなし。
なぜなら僕以外にお客さんは誰もいないから。
洗い場は小さめで、
蛇口も15個ほどか。
浴槽はふたつに分かれていて、
パッと見にはどとらも同じようだったが、
入ってみて違いを納得。
深さが違うのだった。
深いほうは、
僕のヘソくらいあったので、
小さな子だったら溺れるかもしれない。
壁に描かれた銭湯絵は富士山。
そしてその富士山よりしっかりと描かれているのが、
手前の湖に写った逆さ富士。
サイドの壁には
細かなタイルを用いたモザイク絵が何種類か描かれている。
雪のかぶった洋館、アルプスのような風景……。
こちらは全体に洋風のモチーフのようだ。
風呂から上がって着替えをすませ、
さて帰ろうかというタイミングで、
女湯のほうから「ありがとうございましたー」というかけ声。
すごい。
なんでわかったんだ?
これぞプロの仕事か。
結局、帰るまで僕以外のお客は来なかった。
埼玉県。2018年。

by apolro | 2018-11-12 15:35 | 銭湯行脚 | Comments(0)