エレキギターのチューニング中に弦を切り、
たとえチューナーがあっても切るときは切るのだということを知った。
しかし、そこで立ち止まるわけにはいかない。
新しいエレキの弦を手に入れるまでに、
ほかにやることはある。
アコギのチューニングである。
アコギを探していたらなぜかエレキが発掘され、
なし崩し的にエレキを手に取ったわけだが、
その後、アコギもちゃんと掘り出していた。
というかエレキが使えなくなったので、
やむなく第二次発掘隊を出したのだった。
アコギの新しい弦はすでに手元にある。
さっそく新しい弦を張ってチューニングすることにする。
ところがエレキの弦を切ってしまったことで、
「弦を切っちゃったらどうしよう症候群」が再発。
とくに1弦と2弦のキリキリするような感触は怖くてしかたがないので、
とにかく安全第一の手段を講じることにする。
まずはすべての弦をダルンダルンにして、
そこから少しずつ張りを強めていくのだ。
だが、この方法だといつになってもチューナーの針は微動だにしない。
いくらなんでも緩すぎるかとペグをグリングリンと回していくと、
今度は急に高いほうに針が振り切れて震え上がる。
そこから少ーしだけ戻すと今度は低いほうに針が全振れ。
いつになっても針は真ん中に収まらない。
結局、これはもしかしたらチューナーが壊れているのか、
あるいは自分のチューナーの使いかたが根本的に間違っているのではというところに落ち着き、
このチューナーをプレゼントしてくれたマナブにFBのメッセージで泣きつく。
彼の見立てではチューナーのトラブルも完全否定できないが、
それよりも弦を切るのが怖いあまり、
1オクターブ低い音域でチューニングしているのではないかとのこと。
そして「ためしにチューナーを『Chromatic』モードにして合わせてみるといいよ」とのアドバイスを受け、
そのクロマティックというのがなにかもわからずそちらでやってみると、
おお!針がピッタリ、ゲージの中央に収まったではないか。
やはり音域そのものを間違っていたらしい。
それまでよりずいぶんと弦の張りが強くなった。
これで安心と思いつつも、
やっぱり1弦、2弦に調整は怖い。
まさに薄氷を踏む思いで、
これ以上張ったらもう切れちゃうっ! というギリギリのところで、
どちらもようやく正しいセッティングが出た。
あ、クルマなんかではマシンの調整がバッチリ出ることを「セッティングが出る」という表現をするらしいのだが、
楽器の場合もこの言いかたでいいのかしら。
確認のためチューナーを再びギターモードにしてチェックしてみれば、
大丈夫。全部の弦が正しい音を奏でている。
これにてアコギのチューニングは無事終了。
翌日にはエレキのほうも完了。
手元に完璧な状態のギターが2台(という単位でいいのか?)現れた。
なんだかもうギターのすべてをマスターしたような気分である。
まだコードをひとつしか覚えてないのに。
もちろんEm。
ちなみに先ほどのクロマティックというのはなんなのか調べてみると、
「半音階」という意味らしい。
通常のモードより繊細で、
あえて半音ずらしたチューニングをするときに使うようだった。
なぜこっちだと素直にチューニングできたのかその理屈はよくわからないが、
これからはいつもこの手順を踏むことになるだろう。
東京都。2024年。